こんな感じのセッションです

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キリン・ボディワークのごく普通のセッションはこんな感じの1時間です。でもみなさんそれぞれの身体なのでこの通りに進むことってあまりいないような気も…。

「お元気でした? 最近調子はどうですか?」

扉を開けた瞬間からセッションは始まっています。ご様子をうかがいながら姿勢、歩き方、全体の印象などをチェック。ほんの小さなことが全て関係あります。
ポケットからものを出し、時計などアクセサリー類をはずし、ベルトをはずし、靴を脱いでいただきます。Tシャツと短パンみたいな服装が一番楽です。着替えが必要ならどうぞ。

「まずは背骨を拝見」

マッサージテーブルに横になる前に立位または椅子に座って背骨のチェックと施術。日本のボディワークに背骨チェックは必須です。これだけでまず一段階楽になります。

「さーて今日はどんなかな…」

仰向けに横になり身体全体の緊張をゆるめるのと同時に全身の様子を理解していきます。診断と施術が同時に進むのも日本のボディワークの特徴です。ここで脈診や舌診をすることもあります。

「呼吸ができないとまたすぐ緊張しちゃうんですよね」

呼吸が楽にできているか。呼吸の改善は何らかの形でどなたにも必要です。大きく胸が開き全身で呼吸ができるように導きます。ほんの数秒で呼吸が変わっていくのを体験してください。

「お腹の様子を見ますね」

腹部に痛みのある場所はないか、柔軟性はどうか。お腹の上部はふわふわにやわらかく、下へ行くほどパンと張り、丹田に気が満ちているのが理想です。

「このへんが痛いんですね…」「ほらこれで少しマシでしょう?」

不快な症状があるところには必ず離れたところにそれに関連して緊張している場所がありますので、みつけてセットで改善します。経絡の考え方が役に立ちます。
不調の意識されている場所だけでなく全身のバランスを整えます。新しい不調は比較的容易に軽減し、古いものは時間がかかる傾向があります。同目的の施術法がたくさんある中から適切なものを選んで様子を見ながら進みます。

「静かな動きでリラックスに入ります」

施術をきっかけに起きた良い変化をなじませ定着させるために深いリラックスへ。頭のてっぺんから足の先までふわふわに。深いリラックスは薬みたいによく効きます。

「はい、それでは立ち上がってみてください」

全身の様子が変わっているのを味わいながら、更に気になる場所をチェック。

「まだちょこっと時間ありますね」

セッションの最後は楽しい部分です。セルフケアの体操をお教えしたり、女性のみなさんには美顔やウエストライン改善の施術をしたり。カッピング体験やお灸を追加したりもします。古今東西の様々な知恵を通して身体の不思議を一層感じていただけます。

「お水を一杯召し上がれ」

お水または白湯を飲み、必要なら次回の予約を入れて終了。

ツボは標準化されている

前々から、ツボの位置を説明する本の書き方がみんなあまりにテクニカルというか普通の人間の言葉ではないのを不思議に思っていました。英語も日本語もそうなのです。専門用語を使ったらそうなる、という以上にカターイ雰囲気が酷似しているのです。不親切だから人間にわかる言葉で書き直しましたが、これはひょっとすると…。

やっぱりそうでした。

WHOがツボと経絡を標準化しています。どの本もそこからツボの名前と位置を引用しているのです。 WHO Standard Acupuncture Point Locations in the Western Pacific Region。最初何語で書かれたかはわかりませんが、公式翻訳本も出ています。日本語版はWHO/WPRO標準経穴部位 日本語公式版という名前です。

WHOがわざわざツボの位置を標準化するほど伝統医療に興味があるなんて!

最初聞いたときには驚きました。でも考えてみればそれほど不思議なことでもないような。WHOみたいな組織じゃなきゃこういうことはできませんし。どうやってそれぞれの「正しい」意見をまとめていくのか。とてつもなく大きな仕事だったろうなと想像します。国と派閥を超えた先生方の意見をとりまとめるのはさぞかし骨の折れることだったでしょう。その上歴史的に位置が違ったりもしたのではないかと想像できます。

下の画面写真はアマゾンです。現在英語版は絶版になっているらしく、200ドルからと書いてありました。中を見ると出てます出てます、おカタい説明が。しかしね、こういう難しいものをあえて人類の共通の資産として作ろうという気概に免じて、読みにくさは許していいと思うのですよ。

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足湯 - 足ツボのおさらい

足湯するのにツボの知識は全く不要ではありますが、こんなすごいツボがみーんな暖まっているのだなあ、と考えるのは楽しいし、そんなふうに考えていると感覚が研ぎ澄まされていくというおまけがついてきて、良いことなのです。

今回おさらいするツボは、ほんとに全部いいです。

たとえば腎経の1番、湧泉。万能選手です。これ使わないセッションってありえないくらい頻繁に使っています。湧泉の手当が不要な人なんて現代人にはいません。頭に登りがちな気を下方へ落ち着けると、気持ちが静まります。腎経が元気だと全身元気になります。気をつけていると違いがわかるようになってくるはずです。

足湯の容器を深めにしたいのは、脾経の6番、三陰交を暖めたいからです。婦人科系のトラブルによく効くというのは有名ですが、男性にもとてもよいのです。冷え、むくみ、腰痛のみなさんにもよく使っています。それに、これもじわっと元気でます。脾経の手当をすると、お腹にぐっと力が入ってくるのです。背すじが伸びます。先のことを考えてみたくなるかもしれません。

 

足の小陰 腎経1番、湧泉(ゆうせん) Kidney 1 (gushing spring, yong quan)

位置: 足の底の真ん中と思ってください。土踏まずの上部の真ん中。

効能効果: 元気が出ない、泌尿器系の問題、感情のつかえ、気絶した人の気付けに、月経の遅れなど。
K1

 

足の小陰 腎経6番、照海(しょうかい) Kidney 6 (shining sea, zhao hai)

位置: 足首の内側のぐりぐりのでっぱりから一寸下のへこんだあたりです。

効能効果: 不眠、喉の腫れ、扁桃腺、ドライアイ、目の痛み、月経不順など婦人科系の問題、足首の痛み、腫れ。

K6

 

足の厥陰 肝経3番、太衝(たいしょう) Liver 3 (great surge, tai chong)

位置: 足の親指と人差し指の間をなで上げてスペースがなくなって指が止まるところ。足の合谷と呼ばれる場所です。

効能効果: 元気をつける、アレルギー、陰気の不足、足がつる、不眠、心の悩み、肩コリ、疲れ目、頭痛。気が上へ向かって流れるのを促す。(二日酔いにも効くということなので自分の身体で人体実験をする機会を待っています。)

Liv3

 

 

足の太陰 脾経、三陰交(さんいんこう) Spleen 6 (three yin crossing, san yin jiao)

位置: 足首の内側のぐりぐりのてっぺんから3寸。多くの人で押すとちょっと痛いです。

効能効果: 出産(妊娠中は決して使わないように!)、婦人科系の痛み、気鬱、血を養う。脾、腎、肝の働きを助ける。Sp6

 

 

足の太陽 膀胱経、崑崙(こんろん) Bladder 60 (Kun Lun mountain, Kun Lun)

位置: 足首の外側のぐりぐりとアキレス腱の間のくぼみ。

効能効果: 頭痛、首のコリ、目の充血、腰痛、座骨神経痛、アキレス腱の炎症、子宮関連の問題。

Bl60

 

足の少陽 胆経、丘墟(きゅうきょ) Gall Bladder 40 (Mound of Ruins, qiu xu)

位置: 足首の外側のぐりぐりの前下側、へこんでいる場所。

効能効果: 足首をくじいた、足首の痛み、関節が弱い、筋肉がつる。胆嚢の問題、胸焼け、肩の不調、目の症状、気鬱、イライラ。

GB40

メモ&参考資料

  • ツボの名前がこんなに色々あるなんて! 学校で最初にツボに番号がふってあるのを見たときには頭が混乱して泣きそうになりました。WHO式の国際標準経穴名は、慣れると位置と経絡内での前後関係が頭に入って悪くないのですが、日本人として親しんでいる漢字のツボの名前も意味が感じられて捨てがたい。というわけでゾロゾロ書いてみました。
  • ツボの位置の画像は A Manual Of Acupunctureから拝借しました。大辞典的なサイズと内容のすごい本です。ビビらず買ってよかった一冊。アプリもあります。
  • 効能効果は学校で使っていたMcKinnon Acupressure Manualの記述に私のメモを加えたものです。このマニュアル、初心者向けにあっさりコンパクトにできていて素晴らしいのですが、残念ながら学校の外では販売されていません。